徒然なる日々

るくりあが小説を載せたり舞台の感想を書いたりするもの。小説は文織詩生様【http://celestial-923.hatenablog.com/about】の創作をお借りしています。

書きたいところを書きたいだけ書く その7

※魍魎少女っぽいパロディ+結構前に話した妖怪っぽいパロディのミックス

※舜槿様の不老不死設定を↑に合うように解釈しています。(グロめです。ご注意。そしてごめん……。)

 

昔々、そうじゃな、ざっと1000年ほど前じゃったかの。わしはとある国を訪れていた。ある時、わしの体質を知られてしまったのじゃ。

わしを恐れた人々は、なんと、わしの身体をバラバラにしてあちこちに封印してしまいおった。

そんな訳で、今はこの子と一緒にバラバラになった身体を探す旅を続けているのじゃ。

 

 異国の薬売り。

 そう呼ばれている齢10ほどの童女の売る薬は、さして珍しくもない漢方薬だったが、その効能が評判を呼んでいた。

「異国の薬売りだ!」

「ほんとだほんとだ!」

 大店の立ち並ぶ通りにある茶屋。童女の隣にあるのは大きな風呂敷と背負子のついた薬箱。

 みたらし団子を頬張る姿はそこらの童女とさして変わらないが、豊かな赤髪と目元を隠す薄布が怪しげな雰囲気を醸し出していた。

「あ、あの。」

「はい、何かお探しですか?」

 童女は微笑むと、首を横に傾げる。声をかけた少年は、お使いなんだと懐から銭を取り出した。

「奉公先の坊ちゃんが熱を出していて、熱に効く薬が欲しいんだ。」

 童女は頷くと、薬箱の中からいくつか薬包を取り出して少年の持ってきた袋に入れる。

「朝と晩に一包ずつ飲んでくださいね。」

「ありがとう。あ、そうだ次はどこに行くの?」

 少女は少し悩んだあと、庶民街の方を指した。

「隣の街に。」

 少年は、あっと言う顔をした後、そっと周りを見渡して声を顰める。

「隣の街はやめておいた方が良いよ。山側に抜けてもう一つ隣の街に行く方が……。」

「どうしてです?」

 小首を傾げた少女に、困った顔をした少年は、更に声を顰めて言った。

 その言葉を聞いた少女の口端が上がったのに気がつかずに。

 

「今回は本物だと良いですね。」

『そうじゃな。何度木乃伊を見たことか……。』

 畦道を歩く少女から、ではなくその腕に抱えた風呂敷包みの中から男の声がする。それにしても、とその声は続けた。

『行っては行けないとは、なんともきな臭いのぅ。』

「なんでも人魚の腕を手に入れたご主人の気が触れてしまったんだとか。食べちゃったんですかね?」

 人間の腕を食べるなんてどういう神経しとるんじゃ、と呆れたような声が聞こえて、少女はくつくつと笑う。

「ヒトは、ないものねだりなんですよ。」

 

……みたいなイメージを漫画から得ました!(続かない)

 

 

Licht

 

 終わった戦争は、未だ燻り続けている。

 振りかざした正義は、相手から見れば悪になり、大義名分を失えば罪になる。そして、戦争を望む声も、また。

「テロ集団の鎮圧の指揮を取ることになった。マルセル・オルディアレスだ。」

 戦争の英雄に瓜二つの青年は、そう部隊の前で言った。

 私たちが所属するグラフィアスは、あくまで諜報部隊で、表立って行動することは少ないのだが、軍は英雄にそっくりな彼を平和と戦争の終止符の象徴としたいらしい。

「同じく、副指揮官のルクリア・ロルカです。」

 あくまで柔らかに。ロルカの名と、この赤を持つ限り、私に刺さるのは好奇の視線だけれど、それは多分、隣の彼の方がもっとだろう。

 今回の鎮圧は戦争派テロ集団の本拠地を叩くもので、大きな抵抗が予想された。

 長く続いた戦争は、憎しみの火種がまだ残る。和平、となってもまだ、本当の意味での和平までは時間がかかるのだと思う。

 彼が、作戦の説明を締めくくった。

「我々の目的はあくまで鎮圧。無闇に命を奪うのは罪だ。ただ「オルディアレス軍曹。」

 彼の言葉を遮って口を開いた。話すのはあまり得意ではないのだけれど、でもその先は、私が。

「彼らは自分の意思を通すために命を奪おうとします。……こちらも相応の覚悟を。」

 皆が息を呑んだ一瞬の空白。そして是を示す声が響く。彼が解散を告げ、私も席を立つと、名前を呼ばれた。

 振り返ると苦虫を噛み潰したような顔をした彼と目が合う。

「すまない……。」

 何に対して言っているのか、そして何を心配してくれているのか、火を見るよりも明らかだ。

 でもそれは、私の意思で選んだことだから。

「いいんです。」

 いつのまにか抜かれてしまった背丈は、私が見上げるほどで、太陽が眩しい。

 目を細める。

「マルセルくんは、皆の光でいてください。」

 軍の考えとか、そんなものは置いておいたとしても、これからの英雄は、きっと彼のような人がなるべきだと思う。

 優しくて、明るい、私の、幼馴染。

「リア。」

 俺はそんなに綺麗じゃないよ、と彼は綺麗に笑った。