徒然なる日々

るくりあが小説を載せたり舞台の感想を書いたりするもの。小説は文織詩生様【http://celestial-923.hatenablog.com/about】の創作をお借りしています。

とある昼の男たち

さて、モーニングを食べ終えた俺とミランは某ドラマの撮影現場に足を運んでいた。

「よ!マルセル、元気にしてるか〜?」

現場の隅の方で座っていたマルセルに声を掛けると慌てた様子で椅子から立ち上がりペコリとお辞儀した。

「お久しぶりです、ロルカさん、フォートリエさん!」

そう、ここは俺とミランが出ていた白と黒の英雄譚の2nd Seasonの撮影現場なのだ。とはいえ前回キャストもしばしば回想シーンに出るので俺たちも出演しているが、撮影日自体はまだ先だ。

「今はどこのシーンなんだ?」

「アランとローランが雨の中、初めて剣を交えるシーンですよ。…始まります。」

監督の声が聞こえて撮影が始まる。父の背中を追いかけ、実の弟をも踏み台にして上へと上ろうとするアランと甘さゆえの迷いがありつつも、アランが今欲しいものを持っているローラン。2人の相対を見守るのはルクリアだ。

アランが髪を切ろうとしたところでカットがかかった。実際に髪を切らなければならないのでそこで一度止まったのだろう。アランの散髪のために一度休憩が入る。

「セージさん!ミランさん!」

てててとまず駆け寄って来たのはルクリア。

「おー元気にしてたかー?」

「久しぶりだな。」

はい!と頷くルクリアの後ろからローランも顔を出す。

「お久しぶりです!」

そこから今回の撮影についての話題になっていく。アランが今回、役作りに苦戦しているのだという。

「こう…アランがどうしてローランを憎むようになったのかっていう心の過程をどう表現したらいいのか分からないらしくて…。」

「だってよ、ミラン。」

眉間にシワを作ったミランが口を開く。

「俺の個人的な意見としては髪の色とあとは黒に降ったローランの立場だな。アランにとって…」

人物の解釈をするのは難しい。だが、その人を生きるためには必要な過程なのだ。白熱した議論はアランが戻って来るまで続けられた。

 

カーットと監督が言って今日の撮影が終了した。お疲れ様でしたーと出てきた面々を手を挙げて呼び寄せる。

「おーっし、お前ら飲みに行くぞー!」

ぱぁと輝いた顔に悪い気はしない。

ミランも行くだろ?」

そう聞けば苦笑して頷かれた。

「積もる話もあるだろうしな。俺もお邪魔するさ。」

やった!と言ったのは意外にもアランだった。

「僕もお二人とお話したかったんですよ!それなのに、散髪あるからって休憩中は話せないし…!」

少し頬を膨らませたアランに皆が笑う。

「では、行くとするか。」

ミランの号令で皆が移動を始める。副団長っぽいな〜なんて思ったのはここだけの秘密だ。