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徒然なる日々

るくりあが小説を載せたり舞台の感想を書いたりするもの。小説は文織詩生様【http://celestial-923.hatenablog.com/about】の創作をお借りしています。

Homeparty…?

「ホームパーティー…?」

「そうだ。親しい人をもてなすのだが、妻が是非、レノに来て欲しいと言うのでな。もちろん、リヴィちゃんも一緒に。」
ふむとレノックスが思案する。事件も解決し、レノックスは憑き物が落ちたように穏やかになっていた。相変わらずボサボサの頭とよれた格好なのだが。
「では、奥方の御好意に甘えて伺うとしよう。」
リヴィは分からんがなと続けたレノックスにヴィンセントは内心、ホッとしていた。
これが以前のレノックスならにべもなく断られていたことだろう。
雇い主の変化に嬉しくなるヴィンセントだった。

 

 

ダイニングには人が集まり、賑やかに談笑が始まった頃、数えきれず鳴っていたドアノッカーがまた鳴った。
「こんばん…は…。」
「お招きいただき感謝する、ヴィンス。」
そこに立っていたのは赤髪を後ろに撫で付け、パリッと糊のきいた服を身につけた男だった。
ヴィンセントが唖然としていると男は首を傾げた。
「どうした?」
その後ろから出て来たリヴィが『こんばんは、ヴィンセントさん。』と伝えてくる。
そこでようやく、合点がいったヴィンセントが言葉を紡ぐ。
「レノ…だよな?すまない。君があまりにもその…小綺麗な格好だったものだから。」
そう言うと男、レノックスは憮然とした表情を浮かべた。
「…だから嫌だと言ったんだ、リヴィ。」
驚きを隠せないヴィンセントに嬉々としているリヴィに苦言を呈すが、それを聞き入れた様子はない。
『びっくりしましたよね?パパ、本当は結構美男子なの。』
「あぁ…。…おっと、リヴィちゃんも美しいよ。」
慌てて付け足したようになってしまったが、リヴィは気にした様子もなく、ありがとうと口の動きで伝える。
「こんなところですまなかった。さぁ、中へ。」
ダイニングへと案内すると、友人と話していたらしい女性がこちらへと向かって来た。
クラリス。こちらがレノックスと娘のリヴィちゃんだ。」
ヴィンセントの紹介に表情を明るくしたクラリスは口を開く。
「あら!まぁまぁ!私、ヴィンセントの妻のクラリスといいますわ!いつも主人がお世話になっております、本当に、お会いしたかったのよ!!」
まくし立てられた言葉と熱烈な抱擁に少し驚いたレノックスだったが、気を取り直して恭しく一礼する。
「お初にお目にかかります、Mrs.グレイ。私はレノックス・シルヴェスターと申します。こちらは娘のリヴィ。声が出ないので筆談で失礼いたします。」
えぇ!えぇ!とクラリスは頷く。
「話は聞いているわ!リヴィちゃんも大変ね…。あ!リヴィちゃんは折角だから息子たちとお話しするといいわ!!いきましょう!」
リヴィを連れて嵐のように過ぎ去ったクラリスにレノックスはヴィンセントの方を向く。
「お前とは対照的な奥方だな。」
その言葉にヴィンセントは気恥ずかしそうに頬をかく。
「あぁ…まぁ。だ、だが!とても可愛らしいと思わないか?」
同意を求めてくるヴィンセントにレノックスは呆れた目を向ける。
「惚気か。」
気まずくなったのかヴィンセントのわざとらしい咳払いに、レノックスはニヤリと笑った。

 

「リヴィちゃん、息子たちよ!」
すでに食事をしていたらしい息子たちがそれぞれ挨拶をする。
「こんばんは。アゼルと言います。」
「こんばんは〜!グランヴィルって言います!」
硬い挨拶をするのは赤茶色の髪をした方で、クラリスと同じ茶髪の方は同じような性格なのだろう、少し砕けた挨拶をする。
『リヴィ・シルヴェスターです。どうぞ、よろしく。』
くるくると珍しそうに動いていたグランヴィルの瞳が挨拶をしたリヴィに留まる。
「ねぇ、良かったら一緒に話そう!食べながらさ!」
「何か食べられないものはある?それ持ってると立ちながら食べられないよね。あっちで座って食べようか。」
すぐに打ち解けてくれた2人にリヴィも微笑む。
『食べられないものはないです。お気づかい、ありがとうございます。』
それを見せると2人も微笑んだ。
「いいよいいよ!あ、俺ら同い年だっけ?敬語じゃなくていいよ!な、アゼル?」
「あぁ。」
早く行こう!とテーブルの方へ引っ張っていくグランヴィルの後を料理を一通り守り終わったアゼルが追う。
「2人とも仲良くしてよ〜!」
そう声をかけるクラリスに2人は頷いた。

 

「グレイ殿!」
レノックスとヴィンセントが話しながら料理を食べていると後ろから声がかかった。
「ブラッドリー!」
「ご無沙汰しています。おぉ、これはこれはシルヴェスター殿も!」
ガハハと豪快笑いながら話すブラッドリーの後ろから華奢な女性が顔を出した。
お久しぶりですわ、グレイさん。覚えていらっしゃるかしら?」
「オルガか!君も立派な女性だな。」
会話に花が咲き、談笑が始まる。
「ヴィンス、そういえばこれ。」
レノックスが差し出した包みをヴィンスが受け取る。
「ありがとう。中身はなんだい?」
「リヴィが作ったジャムがいくつかと、あと夫人にレースのハンカチーフだ。」
ヴィンセントが広げてみせたそれに皆が感嘆の声を上げる。
「まぁ…すごいわ!」
「シルヴェスター殿の娘さんは奥方に習われたので?」
レノックスが頷くとヴィンセントは疑問を口にした。
「奥方には良いところの出なのか?」
「没落貴族の血筋だ。代々、娘たちがレース編みを母に習って家計を支えていたらしい。」
なるほどとヴィンセントは頷く。すると向こうからクラリスがやって来た。
「あなた!あちらでお呼びよ!皆さん、ごゆっくり〜。」
ヴィンセントを嵐のように連れ去っていったクラリスに取り残された3人はしばし呆然としていた。
「やはりグレイ殿の奥方は面白い方だな!」
笑うブラッドリーにつられて2人も笑い出す。
ホームパーティーはガヤガヤと夜半まで続けられたのだった。
「ねぇねぇ、リヴィってさ、好きな人とかいるの??」
「おい!」
『えぇ。友達のお兄様なんですけれど…。』
レノックスが聞いた瞬間に卒倒しそうな会話も繰り広げられつつも。