「貴様にとって仲間とは何だ?」
ここに来て以来1日のほとんどを一緒に過ごす男がそう言った。
「何だよ、藪から棒に。」
曰く、カレンと話している時の俺は娘のことを話している時に似ている。
「何だろうな、家族じゃないんだけどな。まぁ
“目が離せない奴ら”で“守りたい奴ら”なんだろうな、きっと。」
アンリはものすごく危うい。壊れる一歩手前で絶妙なバランスを保ってる。いつか壊れるんじゃないかって目が離せない。
俺は見守ることとあいつが言えないことを言ってやることしかできないけど、あいつをちゃんと支えてやってるのがカレンとソフィアなんだろうな。
カレンもソフィアもアンリを受け止めることができる。それでいて、それぞれ弱いところをアンリに見せることもできる。
互いに支え合っているっていう自覚がアンリを結果的に支えていると俺は思うね。
守る者がいるっていうことが今のあいつの戦う意味でもあるんじゃないか?
カレンはアンリとは違う意味で危うい。普通に目を離したら何するか分かんないし。でもあいつは無邪気でだけど相応に傷ついてて…。
同僚で同じぐらい優秀な奴だけど、妹分みたいに守ってやりたい奴なんだよな。カレンが幸せだったかどうかなんて本人にしか分からないけど、俺はもっと幸せになってもらいたかったんだよ。それこそアンリと一緒にな。
ナルセはアンリに似てるよな。自分を演じてて、そこに至るまでに大切な奴を亡くしてて。でもあいつは周りに助けを求められるやつだし、何より俺の可愛い可愛いリアが居るからな!!ま、吹っ切れたのもあるだろうし、自分のやりたいようにやれば良いと思うよ。
リュカは…あいつは複雑だよな。アンリが可愛いがってるし、特に不安はねぇけど何となく暗い部分を持ってる。それに、どこでそれを吐露してるのかが気になるよな。戦闘中か?
あいつも爆発しなけりゃいいと思うし、兄弟仲ももう少し改善するといいよな。
ソフィアはとにかく勘が良い。ていうか勘っていうか最早過去を見てるみたいな感じがする。
あいつも抱えてるもんはあるんだろうが、アンリと2人で分け合ってくれればいいと思う。今度こそ幸せにしてやってほしい。なんて女の子に言うことじゃないんだけどさ。
「とまぁこんな感じ?アンリは弟で、カレンが妹で〜ナルセとリュカは親戚の子でソフィアはアンリが連れてきた彼女みたいな?」
「…とにかく家族のように大切にしていることと、お前の観察癖は分かった。」
なんだそれ!変態くさいだろ!と男は喚いたのだった。