徒然なる日々

るくりあが小説を載せたり舞台の感想を書いたりするもの。小説は文織詩生様【http://celestial-923.hatenablog.com/about】の創作をお借りしています。

白黒小話

とある昼の男たち

さて、モーニングを食べ終えた俺とミランは某ドラマの撮影現場に足を運んでいた。 「よ!マルセル、元気にしてるか〜?」 現場の隅の方で座っていたマルセルに声を掛けると慌てた様子で椅子から立ち上がりペコリとお辞儀した。 「お久しぶりです、ロルカさん…

fragile

あの日から彼の様子が変だ。姿が見えないから、探しにいくといつも、遠くを見つめている。そして瞳を揺らがせて、半笑いでため息をつく。今日は中庭の芝生の上に座り込んでいた。 悩みの種は分かっている。でも、私には兄弟がいないし、この国で生まれて、こ…

書きたいところを書きたいだけ書く その2

【面影】 諜報員として自国に潜入することになった。 「ローランくん?」 前を歩くリアが振り向いた。エヴィノニアやその周辺でよく見る赤髪と緑目。オレンジがかっていないのはやはり、ここに生まれたからに他ならない。 「ん〜?」 この任務は俺が自国では…

書きたいところを書きたいだけ書く その1

この近所の商店街もピリピリしてきたと思った。前線から帰された元兵士や、これから向かうのであろう若者。以前よりずっと多く見かけるようになった。 「前から知っている人の店以外には行くなよ」ナルさんにもそう注意されている。都心はもっとピリピリして…

Fの仕事のない1日

【前日】 「うーーーーんっ!終わった〜。」 窓からは西日が差し込んでいる。 ぐるりと首を回せばゴキリと音が鳴った。 ふぅと一息ついてそちらを見やると、僕の執務室に入り浸っているテオが恨みがましそうな顔を向けていた。 「ずるいよフェンネル〜!俺な…

赤を背負って生きる僕らは

01.生きたいと願うのはいつの日か 母さんは父さんとの結婚を決めた時、それはそれは反対を受けたのだと言う。あの赤髪一族と結婚しては幸せになれないと。 姉さんが生まれた時、とても喜ばれたと言う。でも、俺の時は違った。いや、一応は喜んでくれたらしい…

Monochrome

世界が白と黒だったら良かったのになんて、この時初めて思った。 Monochrome きっかけは偶然聞こえたバルヒェットくんの一言だったと思う。 「なぁなぁ知ってるか?赤髪の奴って先祖はエヴィノニア人なんだってさ!」 いつもバルヒェットくんと一緒にいる子…

貴方のいない世界で

I.貴方の面影は その日は粉雪が舞っていた。 「お父さん、お母さん早く!」 ふわふわとした雪に心もふわふわしてくる。くるくるとその場で回る私をお父さんは駆け寄ってきて抱き上げた。高い位置で回る世界に声を上げる。 この国に来て初めてのお父さんとの…

海の聲

親切な車が止まってくれた。 会釈をし、小さな手を引いて道を渡る。 防波堤の向こうに蒼い海原が広がっていた。 立ち止まった俺をリアが不思議そうに見上げる。まだ背の低いリアには防波堤の向こうが見えていないのだと気づき、抱き上げて防波堤の上に上がろ…

XXyears ago

「ただ〜いま〜。」 「おかえり。もうすぐ夕飯だから手を洗っておいで。」 そう言った兄貴の孔雀色の瞳がじっと俺のことを見つめる。 「な、なんだよ兄貴。」 居心地が悪くなってついぶっきらぼうに問うと兄貴は困った顔をして笑った。 「セージ、また怪我し…

Graffias

「貴様にとって仲間とは何だ?」 ここに来て以来1日のほとんどを一緒に過ごす男がそう言った。 「何だよ、藪から棒に。」 曰く、カレンと話している時の俺は娘のことを話している時に似ている。 「何だろうな、家族じゃないんだけどな。まぁ “目が離せない奴…

twitter小ネタ

炎暑の蝉時雨と煩悩と あれはいつだったか…そう、ちょうど今頃のように暑い日が続くそんな日だった。 俺は出来心で汐海の寝間着を隠した。そうしたら、あいつは俺のいないところでそれはまぁえっちな格好でいたわけだ。 というのも俺の寝間着を着ていたわけ…

セーミラでいろんな色で10題

01.朱 「貴様はその髪色で困らなかったのか?」 隣に座る調子のいい男にふと気になったことを尋ねる。なんでも黒と青を尊ぶ国柄であるらしくこの男が纏う軍服にもそれが如実に表れている。 ぼーっと風に吹かれていたらしい男はへ?と間の抜けた顔を晒した。 …

沈々

ナルさんが告げた言葉に目の前が真っ赤に染まった。激情に任せるまま引き金を引く。その時のナルさんはどこか満足そうだった。ナルさんが除隊されてから1週間が経った。今日も今日とて軍の本部、蝋燭に照らされた仮眠室に月明かりが差し込む。銃は剣と違って…

不離

白髪の少女は座っていた。少女が愛した人と共に。彼の髪と同じオレンジの花弁が風で巻き上がる。少女は座っていた。ずっとずっとそこに。彼はそのオレンジの髪を散らして花畑に寝転がっていた。傍には愛しい少女。じわりと涙を浮かべるその姿に困ったように…