徒然なる日々

るくりあが小説を載せたり舞台の感想を書いたりするもの。小説は文織詩生様【http://celestial-923.hatenablog.com/about】の創作をお借りしています。

白黒アクター

彼は誰に常世の花を抱く

―彼女は泣いた。言葉なんて要らないから、そばに居てくれ、と彼の骸を抱いて泣いていた。それがとても悲しく、そして羨ましくもあった。私には、私とともに歩み続けてくれる人はいないから。 * 彼女と出会い、彼の最期を見届けた時は彼女と行動を共にし、寿…

深淵の彼岸 Episode.1

「警部補!エンフィールド警部補‼︎」廊下を歩いていた赤髪の男が振り返る。一つに束ねられていたそれが弧を描いて舞った。「何の用だ。」「さっきのご遺族の話です!あんな言い方ないですよ。確かに素行の良い娘さんとは言えなかったのかもしれません。」で…

現に常世の花が散る

―貴方が幸せだったかどうか、私には分からない。けれど、最期の貴方は満足そうだったから、きっと幸せだったのだと、私はそう思いたい。 * 今、思い出してみると、彼女は幼い頃から人とは違う雰囲気を纏っていたように思う。意志の強そうな瞳は黎明色に輝い…

Homeparty…?

「ホームパーティー…?」 「そうだ。親しい人をもてなすのだが、妻が是非、レノに来て欲しいと言うのでな。もちろん、リヴィちゃんも一緒に。」ふむとレノックスが思案する。事件も解決し、レノックスは憑き物が落ちたように穏やかになっていた。相変わらず…